接待などのビジネスシーンで、上司や役員から「今日これで帰っていいよ」とふと渡されたチケット。
思わず「なんですかこれ?」と聞くと、「それで家まで帰りなさい」とのこと。
この一連の会話、どういうことでなのしょう?
普段の取引先の接待や、年の瀬の飲み会シーンでも多く見かけるこのやり取りですが、ここまで来て「チケットって映画?」とか「ビック〇ックの引換券」思われた方はまずいないと思います…。
答えは「タクシーチケット」です。
名前は知っていても、具体的にどのようなものか分からない方もいるかもしれません。
乗客として、またタクシードライバーとして、タクシーチケットはどのように扱えば良いのか確認しましょう。
見出し
【乗客向け】タクシーチケットとは?仕組みと気を付けるポイント
タクシーチケットは、タクシーに乗車したときに利用できる乗車券です。
現金やクレジットカードで支払うことなく、チケットを渡すだけでタクシーを利用できます。
法人企業と契約を交わしてチケットを発行しているので、各種無線タクシー会社によって、契約数はまちまちです。
「一括後払い方式」と「プリペイド方式」がある
タクシーチケットには、実は複数種類が存在するのをご存じでしたでしょうか?
タクシーチケットには、一括後払い方式とプリペイド方式の2種類があります。
似て非なるものではありますが、状況に応じて使い分けることが可能です。
また、発行元も大きく違うため、チケットによっては『限度額』があらかじ用意されるので、注意が必要です。
「一括後払い方式」とは?
一括後払い方式では、タクシー会社やクレジットカード会社が、契約した企業や個人にチケットを発行します。
お客様はタクシー利用時にチケットを運転手に渡すと、後から契約者にまとめて利用料金の請求が来ます。
タクシー会社が発行するタクシーチケットは、発行している会社や提携している会社でのみ利用できます。
ちなみに、東京大手四社(日本交通・国際自動車・大和自動車交通・帝都自動車)は『東京大手四社営業委員会』が発行する東京四社タクシーチケットを共通で利用可能。
25枚綴りとなっており、料金の上限もありません。
法人企業だけでなく、官公庁などからも契約を頂いている信頼度抜群のチケットなのです。
信販会社発行のチケットも可
また、信販会社(クレジットカード会社)発行のものは、各カード決済利用に加盟しているタクシー会社で使用が可能です。
現在では多くの法人タクシー会社はクレジットカード会社のタクシーチケットに加盟しているので、使い勝手は良いでしょう。
(個人タクシーでは利用不可のケースもあるため、注意が必要です。)
どのタクシーチケットを利用できるかは、車内や車両の窓に掲示されていることが一般的です。
また、限度額が設定されていることもありますので、利用できるかどうか分からないときは、
乗車前にタクシードライバーに確認すると良いでしょう。
「プリペイド方式」とは?
一方、プリペイド方式は前払いシステムで、『タクシークーポン』といったほうが正確です。
3000円、1万円のように額面が決まっており、乗車料金に応じて必要な額のタクシークーポンをタクシードライバーに渡します。
さながら『商品券』や『ギフト券』などのように金券として使用する感覚です。
タクシークーポンは、タクシー会社や地域のタクシー協会が発行しています。
提携タクシー会社でも利用できるため、全国のタクシーで利用できるクーポンも存在します。
※写真のように首都圏では『大手四社営業委員会』がタクシーチケット同様に四社共通利用可能のクーポンを発行しています。
ただし、偽造による不正利用などの発生により、最近ではタクシークーポンの発行は減ってきています。
タクシーチケットを使う時の注意点
タクシーチケットは、ビジネスシーンなどで使うことがあります。
例えば「取引先との接待」などで、相手の会社が契約しているチケットを受け取ることもあるでしょう。
▼この時注意しなければならないのは、以下の通りビジネスの場で受け取ったタクシーチケットを私的に利用するとトラブルのもとになるということです。
利用したタクシーチケットの情報は、後から契約者(法人)に明細が届きます。
もらった日に使わず後日利用すると、その情報は相手に届いてしまいます。
タクシーチケットを渡した側は、あくまで「渡したその日に利用するもの」として渡しています。
相手との信頼関係を保つためにも、私的利用は控えましょう。
【タクシードライバー向け】タクシーチケット決済の場合
お客様としては大変便利なタクシーチケット。
では、タクシードライバーはどうなんでしょう?
ご自身の利益に関する事柄や、利用時の手間などを除いてみたいと思います。
ほとんどタクシードライバーは、降車時にお客様が決済で「タクシーチケットを利用する」という申し出がありましたら、必要事項を記入してもらい受け取ります。
▼記入してもらうのは以下の通りです。
①メーター料金
②高速道路料金などタクシードライバーの立替金
③乗車区間
④利用日
⑤お客様(利用者)の署名です。
受け取ったチケットは業務終了後、売上金を入金する際に「未収金」の1つとして処理します。
未収金には他にもクレジットカードやQRコード決済、交通系電子マネー決済など現金以外の売上すべてが該当します。
タクシー会社によって処理方法は異なりますが、書類の作成が必要な場合もあります。
但し、タクシードライバーによる支払い方法の違いによる報酬の変動はありません。
ですのでタクシードライバーは、タクシーチケットを利用される際に特段の手間はかかりません。
タクシーチケットのトラブルに気をつけて
タクシーチケットを利用されるお客様は、シチュエーションも「接待の帰り」というケースが多く…そうなると高確率と言っても良いほど『酒を飲んでいる』『帰路を急いでいる』という方が多い印象を受けます。
もちろん、それだからと行って対応がどうのこうの言う話ではありません。
長距離をご乗車頂く大変ありがたいお客様であります。
急いでいたりお酒が入っていたりすると、タクシーチケットに必要事項を書き込むのが面倒でタクシードライバーに丸投げする乗客がいます。
その場合はやむを得ずタクシードライバーが代筆をしますが、その際『利用者(お客様)のお名前』は流石に不明なので空欄のままで構いません。
※それでもタクシーチケットは有効になり、記入されている金額で請求されます。
だからこそ乗客にはメーター料金など実際にかかった金額だけでも記入してもらうのが理想です。
何かあったら…
タクシードライバーが記入する場合も万が一、乗客に断りを入れたり、ドライブレコーダーに記録して証拠を残したりするなど、何らかの予防策を講じておきましょう。
もちろん、この時点では精算が終わっていないので領収証は発行しません。
また、会社から定められた区間外でタクシーチケットを利用し、乗車区間をごまかすように頼む乗客もいます。
最近ではタクシーチケットの写しを請求書に添付して送るタクシー会社が多いので不正は簡単に発覚します。
タクシードライバーが不正に加担したとみなされるので、安易に応じないよう気をつけましょう。
タクシーチケットを使うシーン
タクシーチケットを使うシーンは様々あると思います。
年末の忘年会や会社の接待などで上席やお取引先の方から譲っていただいたり…多々あると思いますが、まずタクシーそのものを捕まえないことには始まりませんよね。
混雑する時間になればなかなかタクシーも捕まりづらいものです。
そんな時に大活躍する優れモノがあるのをご存じでしょうか?
アプリ配車で呼んでみよう
タクシーは今、配車専用アプリが人気で、こぞってダウンロードを推奨しております。
従来の「流し営業」や「駅待ち営業」などももちろん成立するのですが、スマートフォンで乗車したい場所を伝えてあとは配車依頼をすれば平均5分でタクシーがやってくるという訳です。
国内では現在、「GO]「S.RIDE」「DiDi」「UberTaxi」などといった配車アプリが人気を集めており、各社初回限定クーポンが大変お得です。
是非、ダウンロードしてオトクにタクシーに乗ってみましょう!
アプリ配車の場合は「車内決済」を選択
既にタクシー配車アプリを利用している方も、そうでない方も、今後タクシーチケットを利用した場合、どのように決済を行えばよいか気になるところです。
というのもタクシー配車アプリには「決済機能」が紐づいている事が多いため、中には事前決済が可能なケースも発生するからです。
そのため配車予約を行う際はくれぐれも注意が必要です。
各社の配車アプリには、乗車時の料金を支払い方法を設定する画面がありますので、『車内決済』を選択しましょう。
まとめ
タクシーチケットには、一括後払い方式とプリペイド方式の2種類があります。ビジネスシーンなどで受け取ったときは、その日以外で使わないようにしましょう。
一括後払い方式の場合、タクシーを降りるときに乗客が、利用日や料金、利用者名などを記載します。トラブルに発展しないためにも、ドライバーに書いてもらうのではなく利用者自身が書くようにしましょう。