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タクシードライバー目線【地理試験廃止実施。どうなるタクシー転職】
東京タクシーセンター及び神奈川タクシーセンターの「地理試験(輸送の安全に係る地理の試験)」は2024年2月29日を持って廃止となりました。
これは昨年より実しやかに囁かれ、国会でもタクシードライバー不足解消への訴求ポイントとして注目を集めていました。
今後その他でタクシー地理試験を行う地域でも随時廃止されて行きます。
「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」は、令和6年2月29日付国土交通省令第15号、タクシー業務適正化特別措置法施行規則の一部を改正する省令により東京地域に係る地理科目が廃止となり、タクシー事業に係る法令、安全及び接遇に関する試験となりました。
【公益財団法人東京タクシーセンター「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」より一部抜粋。】
最初の大きなハードルだった
東京都内は有名どころの幹線道路や建物がいくつもあります。
タクシードライバーとしてデビューしたものの、いざ路上に出ると一切道がわからない…これでは埒があかないため、地理試験はこれまで実施され出来ました。
これは東京都内に限ったことではなく、全国を見渡すと神奈川県京浜地区(横浜市・川崎市・横須賀市)宮城仙台市、札幌市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市などタクシー特定指定地域、指定地域の延べ13か所にも及ぶ営業エリアでタクシードライバーになるための筆記試験は実施されています。
今回の地理試験廃止の内容を、東京特別区武三交通圏を例に挙げてみましょう。
歓迎の声は多い
今回の地理試験廃止は、どちらかといえば「歓迎の声」が多いという印象を持ちます。
地理試験は元々初回の合格率50%という難関でもあり、受験者2人に対し1人が合格する計算です。
ではタクシー会社各社で試験対策を行っているのかと蓋を開けてみると…地理試験対策を積極的に行っている会社は数えるほどなのが現実です。
実際は地理試験対策まで自社研修に人手が回らず、良くて外部期間の地理試験対策学校へ通わせるというのが常です。
場合によって「完全に自主学習」というスタンスを取っているタクシー会社もあるほどでした。
そうなると流石に研修の時点でモチベーションの低下という懸念が発生→結果的に養成ドライバー離脱という負の連鎖が続いてしまうという事態が発生するのです。
そのため、今回の廃止に関してはタクシー事業者を含む業界全体として歓迎の声が多いのも頷けます。
現役タクシードライバーの声
では、このタクシー地理試験の廃止は実際に現役で乗務するタクシードライバーにとってどのような感想をもっているのでしょうか?
現役タクシードライバーにとっては、さすがに言いたいこともあるようです。
努力して取ったが…
タクシードライバーとして転職した際、まず大きな難関をクリアしなくてはならないのが、『二種免許』の取得、そしてこの『地理試験』です。
多くの現役タクシードライバーが東京都内を例に挙げると老若男女問わず活躍している訳ですが、少なくとも2024年2月29日の時点では東京特別区武三交通圏では例外なく地理試験を取得しています。
皆さんの声を聞くと「本当に大変だった…」「覚えるのはしんどかった」「久しぶりに頑張ったよ」など当時の苦労話を未だに現場レベルで聞きます。
地理試験は「暗記問題」とも言われていますが、やはり問題の出題に対してのパターンを理解するには誰かの手助けが必要とするものだというのを筆者も実際に地理試験を取得した際、身に染みて感じましたし、特に地方から初めて東京に出てこられた方は尚更でしょう。
東京に造詣が深い方ならともかく、地方から出てきて初めて東京を運転するという時点でどうにも埋めようがない差が生まれるので、地理試験の重要性は机上の勉強とは言えど改めて高かったと言えましょう。
一定の理解
ただ、地理試験廃止に関しては一定の理解もあるようです。
タクシードライバーがこの地理試験でふるいにかけられ離脱しているのも確かであり、業界全体の人材不足が懸念されていることや、カーナビやグーグルマップの普及もあり、もう地理試験そのものが『時代にそぐわない制度なのではないか』という声が現場でも上がっていたのも事実です。
現在はどうなってる?
地理試験が廃止された今、先日まで試験会場であった東京タクシーセンターではどのような形で研修を行なっているのでしょうか?
法令試験は現存
地理試験は廃止となったものの、現在東京タクシーセンターでは法令・接遇の試験だけは現存しています。
正式には「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」という項目の試験で「地理科目が廃止」になったという形です。
法令試験は「タクシー事業に係る法令、安全及び接遇」という内容になっており、実を言いますとこの科目そのものは2015年10月1日から追加されたもので比較的新しい試験でもあります…が内容はタクシードライバーの仕事をしていく上で大変重要かつ常識的な問題ですので、1発で合格できるようにしましょう。丸1日勉強すれば合格できるような内容です。
「タクシー事業に係る法令、安全及び接遇」の試験は法令・安全・接遇の3項目に分かれた問題が出題されます。45問出題され、合格基準は36問以上の正解(正答率80%)となっています。
尚、合格証の有効期限は地理試験と同じく試験合格日から2年間ですのでご注意ください。
地理試験は効果測定に
地理試験が廃止になったという事は、地理の勉強を一切しなくていいんだ、やったー!
なんて浮足立って東京でタクシードライバーを始めると、本気で痛い目に合いますので謙虚に頑張りましょう。
地理試験は確かに廃止になりました。しかしながら全く地理勉強を行わないのはナンセンスです。
ゴールのないマラソンに挑むようなものです。
そのため、東京タクシーセンターでは地理効果測定を行っています。
実はこのような効果測定は各地域の地理試験が未実施のエリアでも開催していることが多く、有名な所ではお隣の神奈川県タクシーセンターで「県央地区」「湘南地区」などと行った地理試験不要のエリアに関しては地理効果測定を実施しているのです。
また、東京都内でよく見かける「地理試験対策学校」ですが、従来通り営業しており『効果測定対策』を実施しているとのことです。(近日取材予定です!)
最後に地理試験を取得したカケル
タクシー転職道.comやTSJタクシーハローワークでも求人カウンセラーを行う傍ら、都内タクシードライバーとしても勤務し、わずか8乗務目で流し営業のみで営収10万円を達成した筆者カケル。
言うまでもなく都内でタクシードライバーをしているので地理試験を取得しています。
当時の勉強法は地理試験対策学校へ行き、勉強方法を聞き、とにかく反復を繰り返して暗記していきました。その結果見事地理試験、法令試験ともに一発合格!
今思えば、その後数ヶ月で廃止となってしまったので最後に取得したようなものです。
もちろん今回の地理試験廃止によってよりタクシードライバーを目指す方の門戸が開放されて業界未経験の方でも参入しやすくなるのは喜ばしいことではありますが、「苦労の末、今こうして都内で営業をしている」という誇りは、地理試験を取得したから味わえる気がしてなりません。
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