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~カケルのぶらり旅~タクシーで働く前に!あなたは知ってる?「銀座乗車禁止地区」って【実際に行ってみた】
銀座乗車禁止地区とは?
東京でタクシードライバーとしてデビュー!…しかし、実は東京でタクシー営業するにはいくつかの定められたルールがあるのをご存じでしたでしょうか?
もちろん、今現在現役でジャンジャンバリバリ乗られている方にとってこのコラムはまさに『釈迦に説法』のようなものですが、今後東京の23区・武蔵野市・三鷹市(特別区武三交通圏)においてタクシードライバーとして勤務するのであれば、例外なくインプットしなければならないルールを一つ身をもってご紹介させていただきたいと思います。
今回は『銀座乗車禁止地区』…略して『乗禁地区』です。
実際に行ってみた!
今回、転職道.comタクシーメディア取材班は『銀座乗車禁止地区』へ行ってまいりました。
この取材内容は「銀座要注意“!最悪違反も!現役タクシー求人コンサル兼ドライバー「カケル」がお伝えする銀座乗車禁止地区」としてYou tubeチャンネルで公開中です!
タクシー運送の適正化と利便の確保
東京タクシーセンターは東京特別区武三交通圏のタクシー業務適正化を図る東京都知事認定の公益財団法人です。
銀座乗車禁止地区の策定は1970年に施行された「タクシー業務適正化特別措置法」に基づき、東京特別区武三交通圏内に所在するタクシー事業者すべてのサービス向上と利用者の利便確保を行う目的で存在しています。
事の発端は1964年の東京オリンピック開催前後の高度経済成長期に銀座という繁華街であるが故の特徴が拍車をかけ、タクシー車両が殺到し慢性的な渋滞が発生していた事や、当時のタクシー乗務員の品格も度々問題視され近距離のお客様に対する乗車拒否も度々発生していました。
また、通常よりも遠回りしたり高額な料金を請求する事も横行したり、白タク行為も横行していたことから事態を問題視した国土交通省(当時の運輸省)などが1969年に「大都市におけるタクシーサービスの改善対策」を策定し、現在の東京タクシーセンターの前身となる財団法人東京タクシー近代化センターが設立。
翌1970年『タクシー業務適正化臨時措置法』を恒久的に施行し、銀座乗車禁止地区が設定されました。
独特の標識
『この標識…果たしてどれほどの人が知っているだろうか。』
とナレーションを入れて見たくもなります。。まさに「タクシーのためにある標識」と言いたいところですが、実はタクシーを利用するお客様にもアプローチしている標識でもあります。
見ての通り『平日22時から翌1時までは指定のタクシー乗り場以外での乗車は禁止』という標識です。
例えば、平日22時01分に『新橋駅日比谷口前交差点』十字路の銀座線新橋駅の7番出口付近でお客様がタクシーを手上げで呼んでいたら…乗車禁止地区エリア内のため乗せてはいけないのです。
バリエーション多彩な乗り場
銀座乗車禁止地区内のタクシー乗り場は、バリエーション豊かです。
1号乗り場~11号乗り場は『優良タクシー乗り場』で、13号~18号乗り場は『無線タクシー乗り場』となっています。
ちなみに、大変珍しい『ハイヤー乗り場』も設置されています。(101号乗り場~107号乗り場)
また、特に人気の乗り場は御門通り沿いにある「1号乗り場」で、待機場所が築地付近(築地第一駐車場。通称:ショットガン)に別で設置されているほどです。
乗り場で待つ際は必ず待機場所で待ちましょう。
乗り場に関しては順番を守ることが大原則ですが、こと銀座に限っては厳格なルールが設けられているので、平日22時~翌1時まで乗車禁止地区内での「流し営業」はNGです。
※ちなみに配車アプリもこの地区では「不可エリア」となっています。
一変する街並み
日中の銀座は多くのお客様が往来する地域であることは間違いありません。
それに比較的タクシー需要も多い地区ではある印象です。
ただ、実際にタクシー営業して見ると日中は銀座から乗車されるお客様は少ない印象を持ちます。
もちろん乗車される方もいらっしゃいますが、『人の往来が激しい割には乗車が少ない』という感じです。
特に夕方に関してはその流れが顕著になります、別の場所から銀座や日本橋周辺へタクシーでお乗せすることはあっても銀座でお客様を乗せた印象が少ないのです。
しかし夜になれば話は別。
一気に掃けるわけですからタクシードライバーにとっては目をギラギラさせているのも無理ありません。
もちろん、銀座という特性上お客様も普段からタクシーを利用される方が多いのでかなり目の肥えた方が乗車する印象です。
そしてロング率は…確かに高いです。
※ちなみに土日祝の銀座は正午から夏期間(4月~9月末)は18時まで、冬期間(10月~3月末)は17時まで歩行者天国となりますのでご注意ください。
ルールを抑えておこう
銀座乗車禁止地区は、どのタクシー事業者の事務所にもでかでかとポスターが張り付けてありますし、研修でもお話しが出てきます。
そして乗務中にタクシーの中に説明の紙も一緒に入っている事でしょう。
それくらいルールを知っておかないと…東京タクシーセンターから「センター違反」という大変に厳しいお叱りを受けなければならなくなります。
そうならないためにもしっかりとルールを抑えておきましょう。
基本ルール
それでは銀座乗車禁止地区の基本ルールです。
基本は『平日22時~翌1時の3時間は、定められた乗り場以外ではお客様を乗せてはいけない』というルールです。
これは1分1秒でも過ぎていたらダメですし、逆を言えば過ぎてしまえば大丈夫ですし、土日祝日は一切関係ありません。
ちなみにお客様が銀座の乗車禁止地区の中に降りたいという場合は可能です。
以下が規制の内容になります。
地区名/規制時間 | 規制内容 |
---|---|
銀座地区2・6・7・8・9・10号 タクシー乗り場 【土・日、祝を除く22時~翌1時】 |
▼入路指定あり 各乗り場へはそれぞれ一方向から入構 |
銀座地区4号 タクシー乗り場 【土・日、祝を除く22時~翌1時】 |
▼入路指定あり 晴海通りの勝鬨橋方向から三原橋交差点を直進して入構 |
銀座・花椿通り (中央通り~昭和通り間) 【土・日、祝を除く22時~翌1時】 |
入構規制:空車タクシーの進入禁止 客待ちの禁止:中央通りから昭和通り間における花椿通りの客待ち禁止 |
銀座・新幸橋 【土・日、祝を除く22時~翌1時】 |
客待ちの禁止・入構規制 1:新幸橋ガード下を客待ち禁止 2:コリドー通りからの空車タクシー左折禁止 3:第一ホテル東京方向からの空車タクシー右折禁止 |
銀座地区 3号・5号・11号 タクシー乗り場 【土・日、祝を除く22時~翌1時】 |
▼3号乗り場・入路指定あり(変更) 日比谷通り方向からみゆき通りを進行し、外堀通りを左折して入構。 ▼5号乗り場・入路指定あり 内幸町交差点方向から国会通りを進行し、銀座コリドー通りを左折して入構。 ▼11号乗り場・入路指定あり 4号乗り場の空車列と一列で進行し、数寄屋橋交差点を左折して入構。 |
銀座地区「優良タクシー乗り場」 【土・日、祝を除く22時~翌1時】 |
▼入構規制あり 次の入構条件のいずれにも該当しない車両の入構禁止。 ただし、入構有資格車両不足発生時を除く。 1:センターの優良運転者表彰を受賞した運転者で、優良運転者章を表示する車両。 優良事業者に所属する運転者であり、且つ、優良表示を掲出した車両。 2:優良個人タクシー事業者認定制度の最高位「マスター(みつ星)」であることを 表示する個人タクシー車両。 |
銀座地区1号 タクシー乗り場 【土・日、祝、12/29~1/3を除く22時~翌1時】 |
▼入路指定あり 築地川第一駐車場に入構後、汐先橋交差点・蓬莱橋交差点を経由し、 銀座8丁目交差点を直進して入構。 |
みゆき通り (山下橋~帝国ホテル駐車場出入口前交差点間) 【土・日、祝を除く22時~翌1時】 |
▼客待ちの禁止 山下橋ガード下から帝国ホテル駐車場出入口前交差点までの間における客待ちの禁止。 |
東京高速道路「土橋入口」付近 【終日】 |
▼乗車行為の禁止 東京高速道路土橋入口付近でタクシー業務適正化特別措置法の乗車禁止地区外及び当該道路内における乗車行為の禁止。 |
違反をした場合
東京タクシーセンターでは、銀座のタクシー乗車禁止地区を中心に六本木や新宿などを随時街頭指導を敢行しております。
街頭指導は利便性の向上を目指すべくタクシードライバーの乗車禁止地区での乗車、或いはその他の場所での乗車拒否などお客様の利便を阻害する違法行為の防止や是正指導などを行っております。
東京タクシーセンターから指導が入ります。
これが「センター違反」という案件となり、登録の取消処分を受けた際、「乗車禁止地区における乗車」の再登録禁止期間は初違反で40日、再違反で80日となっています。
かなり痛いですし、万一タクシー会社に転職する際も「センター違反」としてタクシー経歴に残るので、気を付けましょう。
違反を起こさないための対応
誰だって違反は嫌ですよね。
違反はしたくてしたい訳では当然ないでしょうし、防げるものなら絶対に防ぎたいものです。
ではどうすればよいでしょうか。
万が一、華の都銀座に平日22時から翌1時の間に足を踏み入れてしまった時の対処法です。
懇切丁寧に説明すること
まず、乗車禁止地区内でお客様が手を上げてタクシーを捕まえようとすることがあります。
お客様の中には当然、ルールを知らない方もいらっしゃいます。
よくタクシードライバーの中には『銀座のルールを知らないなんて非常識だ。だったら銀座に来るなよ』なんてとんでもない上から目線で横柄な考え方をする方もいるようですが…それは言語道断、間違いです。
誰しもが熟知している訳ではないので、もし間違えてタクシーを呼び止める方がいらっしゃったら懇切丁寧にお伝えしましょう。
『申し訳ございません。この地区では平日22時から翌日1時までの間はお客様は指定のタクシー乗り場でご乗車を頂いております。大変恐れ入りますがそちらでタクシーをお待ちくださいませ。』とお伝えし、銀座乗車禁止地区の地図を見せて一番近い乗り場を教えてあげましょう。
まちがっても『あー、今の時間はダメなんだよ』なんて言ったら火に油を注ぐことになります。
タクシーは接客業であることを忘れずに!
営業先として「極力行かないようにする」
ここまで聞いて「怖い」「関わりたくない」と思った方には、別の対処方法はあります。
それは『銀座へ行かない』ことです。
なんと単純明快で拍子抜けの答えで申し訳ないのですが、これこそが対処できる唯一の方法です。
がしかし、行かなくてもルールは必読です。
なぜなら平日22時から1時の最中、他の地区で営業していてもお客様から行先を『銀座まで』と言われることがあるからです。
そして銀座到着後ドアを開けた瞬間に乗ってこられたらアウトなので、必ずお客様が銀座乗車禁止地区の中でタクシーからお降りになる際は周囲を今一度確認してからドアを開けましょう。
ルール上タクシーは無意味に回送にはできないので注意が必要です。
それでも銀座にタクシーが押し寄せる理由
ではなぜタクシードライバーは銀座へ行くのでしょう?
それは圧倒的に『お客様の単価が高いから』です。
もちろん全てのお客様がそうではありませんが、中央区銀座は一等地で地価・物価とも日本一を誇り、繁華街も大変な賑わいです。
それだけ消費するお金も多く、高級クラブも多いので目の肥えた客層や富裕層が多いのも確かです。そうなると銀座からタクシーを利用してそのまま郊外へ帰路という黄金の道筋が生まれるわけです。
これを旨味と思い都内のタクシードライバーは高度経済成長期の昭和から平成、令和にかけて挙って押し寄せているのです。
だからこそ、銀座のタクシーには「ルールブックが不可欠」だったのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実はタクシー営業には様々なルールがあったのです。乗車禁止地区や駐停車禁止地区などはこの他にもあるのですが、特にこの「銀座乗車禁止地区」は今後東京都内のタクシードライバーに転職される方は耳にタコが出来るくらい聞かれると思います。
銀座へあえて行かない手も当然あると思いますし、事業者側が「行くな」というケースもあるかもしれません。
しかし、お客様が指定されて銀座に行ってしまう可能性は0ではございません。
そうなった際の対処法として、実際の乗務経験や取材を基にしたコラムをご覧になって今後に役立てていただけたら幸いです!