タクシーのお仕事は未経験者の場合、入社しておいそれと開始できるわけではありません。
やる気に満ち溢れて、早く路上に出たい…なんていう気持ちをお持ちの方がもしいらっしゃったら少し待ちましょう。
逆に、まだ右も左もわからず不安だ…という方はこれから手取り足取りご教示してくれますのでご安心くださいませ。
ということで、今回はそんな研修現場やタクシーの業務適正化を行う場所へ実際に取材を敢行してまいりました!
見出し
神奈川タクシーセンターの研修とUD研修に潜入取材!
今回は春の「東京タクシーセンター」取材に続き、神奈川タクシーセンターへの取材へ行ってまいりました。
なお、神奈川タクシーセンターの乗務員研修は最短5日間の構成で組まれております。
その中でも1日目が神奈川タクシーセンターとは別の会場で行い、「ユニバーサルドライバー(以下:UD研修)」として開催されており、丸1日を通してタクシーの福祉的要素を学びます。
神奈川タクシーセンターとは?
神奈川タクシーセンターとはどのような場所なのでしょうか?
なんとなくその名の響きから「避けて通れぬ場所」というのは想像がつくと思います。
その解釈は正しく、神奈川県でタクシードライバーとして登録する方であれば例外なく訪れる場所なのです。
タクシー業務の適正化を図る場所
神奈川タクシーセンターは正式名称『一般財団法人神奈川タクシーセンター』といいます。
平成22年に「タクシー業務適正化特別措置法(1970年公布)」の一部改訂に基づき、神奈川県内のA地区『京浜交通圏』(横浜市・川崎市・横須賀市・三浦市)の適正化事業実施機関として国土交通大臣の指定を受けております。
この第三者的な公正中立という立場から、タクシー業務の適正化とタクシー利用者の利便確保を目的として業務を推進しています。
また、『京浜交通圏』のタクシードライバーで必須となる「地理試験」の事務代行を行っています。
神奈川でタクシードライバーになるなら必ず訪れる場所
また、神奈川タクシーセンターはもう一つ、大きな役割をもっています。
神奈川県内でも「A地区」と言われる『京浜交通圏』だけでなく、神奈川県内全域のタクシー事業所で乗務するタクシードライバーの新規講習・登録証の交付・登録や個人タクシーの事業者乗務証の交付を行っています。
そのため、京浜交通圏のみならず、県央交通圏・津久井交通圏・湘南交通圏・小田原交通圏の各事業者もこの神奈川タクシーセンターにて登録・研修を行います。
タクシーセンター研修へ実際に行ってみた
今回、転職道.comタクシーメディア取材班は神奈川県内のタクシードライバーが乗務員登録や京浜地区の地理試験等で必ず訪れる『神奈川タクシーセンター』へ行ってまいりました!
月曜日のUD研修を取材
神奈川タクシーセンターでは、5日間の新規講習受講が組み込まれています。(京浜交通圏以外は4日間)。
その中で、唯一、別会場で開催されているのが初日に行われる『UD研修(交通バリアフリー)』です。
UD研修とは「ユニバーサルドライバー研修」の略で、タクシー事業者団体がタクシー業界全体を挙げて実施している研修になります。
月曜日 | 神奈川トヨタモビリティ会場 UD研修(交通バリアフリー) |
---|---|
火曜日 | 神奈川タクシーセンター 法令研修(A・B) |
水曜日 | 神奈川タクシーセンター 安全研修/接遇研修(A・B) |
木曜日 | 神奈川タクシーセンター A地区:地理研修/接遇研修 B地区:地理効果測定 |
金曜日 | 神奈川タクシーセンター A地区:地理試験【法令・安全/地理】 ※不合格の場合、月曜日に再試験 |
令和5年4月から必須に
「UD研修」は、UD研修推進実行委員会と一般財団法人全国福祉輸送サービス協会、そして一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会が共同で実施しています。
昨今では高齢者や障がい者の方々の社会進出が目覚ましくなっております。タクシー業界全体としてもドライバーの皆さん一人ひとりがお客様の多様なニーズや特性の理解、円滑なコミュニケーションの確保といった、タクシー営業に欠かせない接遇と介助の向上を目指していくことから、このUD研修が行われるようになりました。
現在では全国各地域単位で「UD研修」を新規講習に導入をしており、神奈川県もこの度令和5年4月よりUD研修が実施されております。
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以前京浜交通圏のとあるタクシー会社へ訪問した際、度々「神奈川も早期にUD研修を導入すべきだ!」とおっしゃる所長さんがいらっしゃいました。この制度開始を聞き、この所長さんを思い出したのは言うまでもありません。
ようやくこの度、神奈川県でも開始され、タクシードライバーの質がホスピタリティ面で底上げされるのではないでしょうか。
場所に注意
上記でも申し上げた通り、神奈川タクシーセンターの新規講習は月曜日のみ会場が変わります。
UD研修を行う会場は「神奈川トヨタビジネスモビリティセンター」(神奈川県横浜市都筑区川向町880-1)です。
神奈川タクシーセンターでの研修は火曜日以降ですのでご注意ください。
(※令和5年9月現在の情報です。状況により変更する可能性はあります。)
▼アクセス
【公共交通機関の場合】
・横浜市営地下鉄ブルーライン「新羽駅」から2番乗り場にてバス約10分「折本町」下車。徒歩5分
・JR横浜線「小机駅」からタクシーで5分/徒歩30分
どんな内容?
今回、実際に研修をのぞかせていただきました。
「UD研修」の研修時間はどの地域であろうと原則❝1日7時間❞と決まっています。
内容は主に『タクシーとユニバーサル社会』、『お客様とのコミュニケーション』、『お客様の理解と接遇』などといった基本事項について座学やロープレを交えて学びます。
ではでは、その中身を少しだけ見てみましょう。
午前は座学中心
噂には聞いていましたが、ものすごい人の数で驚きました。
その数40人!うち女性乗務員が2割近くの9名程度いらっしゃいました。
そして何より年齢層が思っていたよりも若かったのが衝撃的です。
基本的に午前中は座学なのですが、タクシードライバーとして高齢者や障がい者の方への接遇を学びます。
一つ一つが非常に細かかったのが印象的で、これこそがまさにタクシー求人サイトでよく見かける『きめ細かな丁寧な研修』という部分を垣間見たような気がしました。
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例えば「笑顔で声掛けを行う」→「私にできることはありませんか」この流れからお客様に同意を得ること。
決して命令口調にはならずに、安全安心なコミュニケーションを取ることの重要性をここでは学びます。
もちろん、これはほんの一部にすぎません。
それほど、内容は非常に濃く・そして深いです。
お客様の気持ちになってロープレ
そして様々な場面で様々なハンディキャップを抱えたお客様が乗車されることを想定し、タクシードライバーはペアになってロープレ行います。
まさにタクシードライバー側とお客様側という双方の立場になって気持ちを考えるのです。
ここでは「視力」という面に着目し、「老眼」「白内障」「緑内障」といった高齢者特有の病気の『見え方の違い』などの説明後、お客様役の方はサングラスにイヤホンと軍手をつけて、財布から料金を出して支払いを行うという想定でロープレを実施しました。
基本動作にしても、「杖をついているお客様対応」や、「認知症の方の接遇方法」、「タクシー乗降時に転倒のリスクを防ぐための対応」など細かなことを学びます。
内容的にも介護福祉の初任者研修(旧ヘルパー2級)の一部分を彷彿させるようなシーンでした。
マタニティ対応も
結婚されていてお子さんがいらっしゃる方は、もしかしたら役所などで妊婦さん体験を経験された方もいらっしゃるかもしれません。
実はこのUD研修ではマタニティエスコートの勉強を行います。
お客様の中には身重のお客様もいらっしゃいますし、タクシー事業者によっては「陣痛タクシー」「マタニティタクシー」などのサービスを行っているケースも非常に多いのです。
エスコートのポイントは、シートベルトの確認や手荷物のお手伝い(まず必ずお声掛けから)、陣痛の有無、病院名と入口の確認、急な体調変化を見逃さないことが挙げられます。
ちなみに、JPN TAXIはヒップポイントが通常のタクシーに比べて高くなっているため、妊婦さんにも優しい作りとなっております。
そして何よりトイレの確認も大切です。
これも研修ではもちろん習いますが、トヨタのディーラーはタクシーに対してフレンドシップ協定を結んでおり、お客様がトイレを必要としているのであれば、男女関係なく利用が可能となっておりますので安心です。
(令和5年9月現在、タクシードライバーは女性のみ利用可能。)
午後はUD車両で実践!
お昼を挟み午後は外に出て、タクシー車両を囲んで実際に車いす乗降や、JPN TAXIを使用した実践トレーニングを行います。
JPN TAXIの内部はかなり広くスペースを取れるので、車いすの方はもちろん、荷物を入れる際も不自由なく利用できる点も魅力でしょう。
研修では実際に「自分たちがあと数か月後に一人で運転するタクシー」を目の前にして、緊張の中にも理解を深めようという前向きな気持ちが溢れていました。
ちなみにJPN TAXIは俗に言う『※UDタクシー』とも言われております。
大まかに言いますと…
- 縦横共にゆとりのある車内空間
- 握りやすい乗降用手すり
- スライドドアの開閉に連動するステップを装備した乗降口
- 車いすのまま乗車可能なほどのスペース
- 大きな荷物も収納可能
上記の内容が揃っております。健康な方だけでなく、高齢者や障がい者、妊婦さんなどどなたでも利用できる、そして利用がしやすいタクシーなのです。
※ここでのUDは「ユニバーサルデザイン」の略になります。
デビュー間近の乗務員さんにインタビュー!
新規講習で真剣な場、インタビューなんぞプライバシーもあるし難しいでしょう…。
と思っていましたが、快く受けてくださった方がいらっしゃいましたのでここでご紹介します。
皆様それぞれ、ここまで来るのに幾重ものストーリーがあるのですね。
そしてこれからがまた始まるんです。
「元々はバス運転士を20年以上。接客が好きで挑戦したかった。」
神奈川県 50代 男性
『車が大好きだったというのと、接客が好きというのがきっかけでした。元々は観光地で路線バスの運転手を20年以上やってましたから、当然大型二種は持っていますし、タクシーもどこかで選択肢にはあったんです。
でも直近ですとトラックの運送をやってまして…。ただタクシーは接客もできるし、バスと違って不特定多数の人を決められた場所へ運転するのと違っていろんな人が乗ってくる。そしてわずかな時間を一緒にして、最後は感謝されていく、ここに魅力を感じました。挑戦してみたかったんです!』
「楽しそうだからっていう気楽な気持ちでした。」
神奈川県 30代 女性
『タクシーやる前は某大手宅配事業者にいました。転職の際はいろいろ考えていたんですけど、地元のタクシードライバーやテレビでの特集を見ているうちに「なんか楽しそうだな」と…。
本当申し訳ないんですけどそれがきっかけなんです!気楽な気持ちもあったかもしれませんけど、新規講習に来てみたら思ったよりも同年代近くや女性ドライバーも多くてびっくりしました。早く独り立ちして頑張りたいです!』
「働かなくちゃいけない!探していたら…」
神奈川県 20代 女性
『私の場合は、家庭が出来たので働かなくちゃいけない!という理由がありました。結構あせっていて探していたら「タクシー乗務員募集」というのをネットで見つけて調べて面接してみたんです。
タクシーって男がやる仕事って思っていたけど、ホームページとかネットを見ると全然そんなことないんだなって。実はたまたま同期でも同級生の子がいるんで励みになっています。』
神奈川タクシーセンターへ
熱量満載の研修が続いていましたが、時間の都合上途中で引き揚げ次なる目的地となる「神奈川タクシーセンター」へ!
ここは神奈川県内のタクシー事業の業務適正化を行う重要な拠点です。
日ノ出町駅から徒歩5分
神奈川タクシーセンターは京急本線「日ノ出町駅」から徒歩5分です。
エアポート急行は停車しますが、特急・快特は通過しますので横浜から乗車する方はご注意ください。
また、JR根岸線・横浜市営地下鉄ブルーラインの「桜木町駅」からも徒歩13分の距離です。
横浜が誇る歓楽街ですが、概ねタクシードライバーの登録や新規講習で訪れる場合は日中ですのであしからず。
取材の様子
それでは取材の様子をお伝えしましょう。
と、その前に神奈川県のタクシーセンターについて少し触れてみたいと思います。
地理試験ってあるの?
神奈川県のタクシードライバーは、京浜交通圏、県央交通圏、津久井交通圏、湘南交通圏、小田原交通圏の5地区いずれかで営業を行います。
タクシードライバーは全国10の地域で「地理試験」という試験が新規講習に含まれているのをご存じでしょうか?
特に有名なのが神奈川県のお隣、東京特別区武三交通圏の地理試験で難問とされています。
ちなみに神奈川県のタクシー営業交通圏5地区の中で、「地理試験」を受講しなければならないのはA地区と言われる京浜交通圏のみです。
その他B地区こそ地理試験は無いものの、理解を深めるための効果測定は新規講習に含まれています。
地理試験対策は?
神奈川県京浜交通圏タクシー地理試験の対策はどのように行えば良いのでしょうか?
東京特別区武三交通圏では、東京タクシーセンターに行くと試験対策用問題集が販売されています。
調べてみましたが神奈川タクシーセンターではそのような問題集の販売はありません。
しかし、なんとありがたいことか神奈川タクシーセンターのホームページに行くと過去問題のページがあるのです。
さらに、新規講習前に各所属のタクシー事業者にて対策問題集を用意しているケースが多いのも事実。
そして最後は神奈川タクシーセンターの4日目講習の地理で理解を深めればもう大丈夫です!
ほとんどの人が1回目~3回目以内で合格していますよ。
東京同様に「街頭指導」も行っている
神奈川タクシーセンターの主な業務内容の一つに『街頭指導』があります。
春に取材させていただいた東京タクシーセンターの「街頭指導」同様、タクシー営業の適正化を図ることを目的とした街頭指導を東京都大田区の羽田空港から神奈川県三浦市まで24時間敢行しています。
東京都大田区へ行く理由は、羽田空港内に「神奈川タクシー専用乗り場」が設けてあるためです。
これらは適正化事業の一環です。
県内のタクシーに係る様々な業務を遂行
神奈川タクシーセンターでは、その他にも『専用乗り場の管理(横浜駅・新横浜駅など)』や『乗務員証の発行(登録事業)』といった事務的な手続きを行っています。
もちろん、苦情・要望も受け付けており、適正化事業として乗務員や事業者に指導を行うケースもあります。
インタビューに応えてくださいました
ここからは現場の「生の声」をお届けしたいと思います。
当日は神奈川タクシーセンターの一室にて、今回の取材に各種対応してくださった管理部長の鈴木さんと相談課課長の高津さんのお二方にお会いすることが出来ました。
今回、ありがたいことに夕方のお忙しいお時間を割いてインタビューにも応じていただきました。
ドライバー増加は適正化事業として身が引き締まる。
管理部長:『もともとタクシー業界は年齢層が高いので、年齢層が低い方が増えてくれるのはとてもうれしく思います。ただそうは言ってもまだ業界全体の平均年齢で言いますと60代近くになってきますので、今後も多くの若い方に興味は持ってほしいと思いますし、このタクシー業界でお仕事をしていただきたいと思います。また、今年は例年になく多くの方が入社されていている印象があります。コロナが5類となって規制が解除となったのも追い風ですし、そのコロナの影響で働き手を失ってしまった方などが再就職先として今売上が伸びているタクシーを選んでいるという印象です。適正化事業としては尚のこと身が引き締まるところです。』
管理部長:『二種免許の規制緩和は多くはないですけど、…それでもちらちらとはいらっしゃいますよ!どこの会社さんとは言えないですが、19歳の方がデビューしましたし、20代の方も今チャレンジしています。男性女性問わずです。そういう意味では今年はいい意味で全く想定外なことが起きています。』
管理部長:『そうなんです。UD研修は4月からスタートしております。このUD研修は神奈川タクシーセンターの新規講習の中に組み入れてほしいという要望がタクシー事業者や組合などから声が上がっておりました。ただ、当初❝UD研修を行うスペースがない❞という問題点がありました。当分できそうにないなと思っていたところ、ちょうどトヨタモビリティ神奈川様からお声をいただき全面協力をいただけました。』
管理部長:『今おかげ様で本当に研修は混雑しています。正直確実に❝来週から来てください❞とはとてもじゃないですが言えないくらい混雑しています。1か月程度待っていただくことがあります。何人でも受け入れられるという訳ではないのでそこはネックですが、しかし神奈川のタクシー業界が今活性化してきていることはとても喜ばしくも思います。』
苦情に対しての思いなど
続いて答えてくださったのは相談課課長を務める高津さん。苦情や相談などの問い合わせの窓口を担当されています。
相談課課長:『やはり2割くらいは増えていますよ。以前は以前で多かったんですけども、今は本当に「言葉遣いの案件」が多い印象です。とりわけ女性やお年寄りのお客様からの苦情・相談が多いですね。何故かと言いますと男性のドライバーが強気に出たりする事があるようでして…態度や言葉遣いが気に入らなかったという指摘が目立ちます。もちろん男性のお客様からの苦情・相談もあるのですが、印象としては弱者には言いやすいからそうなってしまうんではないかと思います。もちろんそんなドライバーは一部ですよ。』
相談課課長:『ええ、確かにスピードや運転が荒いという案件も入っては来ます。ですが、「言葉遣いの案件」がやはりダントツでトップですよ。2番目は基本動作としてお客様に「目的地を必ず聞く(復唱する)」ことが出来てないことが挙げられるでしょう。これは聞き間違いや目的地を間違えないための動作であって、例えば❝横浜駅まで行ってください❞とお客様に言われたとします。でも横浜駅って西口・東口といろいろあるでしょう?親切な乗務員さんだったら「どちら口ですか?」とか「何線乗られますか?(相鉄なら5番街・JRなら西口・京急なら東口など)」「どちらへ用があるんですか?(そごうor髙島屋など)」とか聞きければお客様にとっても想像がつきますし、非常にありがたいんですが、適当に聞くと全然別の場所に行かされちゃうでしょう。経路確認も大切です。「国道1号線を曲がって〇〇交差点を…でよろしいですか?」などを伝えられれば良いのですが、勝手に「はいー」と言って行ってしまうとお客様から「運転手さん!いつもの道と違うけど…」見たいなご指摘を頂くこともあります。遠回りして料金がいつもよりも高かったりするとあらぬ苦情を頂くこともあります。
もちろん渋滞や信号のタイミングは致し方ないですが、ただ経路確認だけはタクシードライバーも事前にできることなので、こればかりはお客様からご指摘を頂いてもどうにもなりません。ですので、言葉遣いと基本動作…これが大前提なんです!
これがしっかりできていればそこまで苦情は来ないと思うんです。
間違えやすい建物も注意ですよ。例えば横浜には「東急ベイホテル」と「東急レイホテル」など…。ここで例え乗務員が間違えても謝罪していればよいのですが、余計に多く金額をもらった上に謝罪もなかったとのことで後日苦情が入ったことがあります。
相談課課長:『そうです。あくまで電話までして苦情入れるのは最終的にお客様も色々考えるんですよ。「これはいちいち苦情の電話するものなのか?」と。でもそれを踏みとどませるには最後に謝罪があるかどうかなんです。「お客様本日は誠に申し訳ございませんでした。今後気を付けます」という対応があるかどうか。でもそれすらもなかったらどうでしょう?怒り心頭になるお客様や、踏みとどまらず苦情の電話を入れるということに発展するわけですよね。タクシー乗務員側がやるべきことをやってない…謝罪もない…感じも悪い…これはもう最悪のケースだと思います。』
相談課課長:『内容的には「降りてトランクサービスしていただいた」「ゆっくり降りてくださいねと言ってくださった」「親切な口調で優しい口調で最後まで気持ちよく乗れました」など…非常に心の温まるお話ですが、これらはタクシーの適正化業務という目線からすれば終始当たり前でもあります。特段大まかなことではなく、通常業務の中で発生する業務でお褒めの言葉を頂いているのが印象的に思います。しかしそれらは、運送業だけにとどまらず接客業の要素も持つタクシードライバーとしては大切な基本動作です。狙おうと思ってやるよりは、
取材を終えて
タクシーの当たり前=適正化。タクシーセンターは東京に次いで2回目でしたが、やはりパワーワードとして印象に残るのがこの「適正化」というフレーズです。
正直これはタクシー事業者の現場に出向いてもあまり聞かないワードですし、タクシーセンターだからこその第三者的な公正中立の立場から、タクシー業務の適正化と利便確保に重きを置いていることが伺えます。
今回は一日を通して神奈川タクシーセンターの研修を見せていただきました。
新規講習に孤軍奮闘するタクシードライバー金の卵の皆さん、そしてそれを現場で支える研修担当者の皆さん、そして日々神奈川県内や京浜交通圏の事業適正化と利便性確保に努めるタクシーセンターの皆さんのご協力には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。