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タクシードライバー転職の不安…ライドシェアって何?日本もついに解禁に意欲?
タクシードライバーを目指すにあたり、将来的な不安はつきものです。
手に職をつけて、仕事をするわけですから折角なら何年も何十年も成し遂げてほしいのですが、時代の変化につれてタクシー業界や自動車業界は常に臨機応変に対応をしてきた背景があります。
そんな中、今回の話題は「ライドシェア」に関する動きです。日本では固く反対の狼煙を挙げていたこの問題に少し動きが出てきました。
菅前首相や河野デジタル相が前向き姿勢を示す
インバウンド需要が急回復して各地でタクシーが不足する中、菅義偉前首相は8月末、「ライドシェア」の必要性と解禁を唱えました。
『観光地が悲鳴を上げている、現実問題としてタクシーが足りない。これだけドライバーの人手不足になってきたら、ライドシェア導入に向けた議論も必要だ」
また、テレビメディアでは河野太郎デジタル相がライドシェアについて「一定の条件を設けた上での導入」に前向きな姿勢を示しています。
河野氏の見解は、『地域ごとにタクシーの待ち時間の条件を設けること』。さらに『タクシーのサービスの品質が維持できない場合、ライドシェアや自動運転サービスが自動的に解禁されるルールを導入すること』を提案しています。
ライドシェアとは?
ところで、ライドシェアとは何でしょうか?
タクシーとどう違うか、気になるところです。お客様が乗車して、目的地で降りてお金を払うのは一緒なのですが…問題は事業者か事業者じゃないかという部分が焦点です。
いわゆる❝配車サービス❞
直訳すると「相乗り」になりますが、タクシー関連の話になるとまた別の意味を成します。
このライドシェアは「一般の人が自家用車を使って有料で客を運ぶサービス」を指しており、現在多くの海外では導入されています。
例えば有名なアプリケーションで言えばアメリカの「Uber」や中国の「滴滴出行」、東南アジアの「Grab」が有名ですが、日本国内でライドシェアは原則禁止となっています。
(過去に過疎地での実証実験例はありました。)
ライドシェアのメリット
ライドシェアのメリットは、自家用車を活用して営業ができることです。
ドライバーになるために一定の審査はあるものの、比較的手軽に参入できるのも大きなメリットですが、何より事業者として所属するわけでもなく、自由に働けるのが魅力です。
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お客様目線でもまたライドシェアは評価制を敷いていることから、意外にもドライバーの質が良いという点や普段乗れない高級車に乗れたりするのもメリットです。
世界のライドシェアの現状
世界のライドシェアの現状は、衝撃的なものです。
令和3年の調査によると、世界のライドシェア市場は今後拡大の一途を辿り、年平均成長率が20%になると予測されています。2020年の市場規模は890億ドル!…日本円で……約9兆9,000億円と推測されているので驚きを隠せません…。
日本におけるライドシェアの現状
日本におけるライドシェアの現状は今、どのようになっているのでしょうか?
世界中で大きく成長する市場の中で、「置き去り」と言われていますが、これには日本独自の文化もあります。
ハイヤー・タクシー業界は猛反発
当然ながらハイヤー・タクシー業界はライドシェアには猛反発しており、Uber発足の10年以上前から交通業界でも「ライドシェア反対」を掲げて一致団結をし、今日に至っています。
ライドシェアの導入には現在、賛成が3割で反対が約6割。
そのほかは保留という状態です。このようなデータもあり、なかなか国内では進まないのげ現状です。
それもそのはず、ハイヤー・タクシー業界にとっては営業の面目丸つぶれですし、国家資格で取得した「二種免許」や「地理試験」を用いて「法令・接遇」を遵守するハイヤー・タクシードライバーの立場はどうなるんだという話になりかねません。
おそらく事業者の中での腹心は気持ちとしてライドシェアに納得している部分もあることでしょう。しかし二種免許や法人としての公共交通機関の立場を考えるとなんとも難しい局面になります。
しかし人手不足解消となるのであればもう少し役人の皆さまも知恵を絞ってタクシー業界・日本ならではの雇用を促進できるサービスを模索してみてはどうでしょうか…。
白タク行為に触れる
何より、タクシーのような「二種旅客業」でない自動車で送迎サービスなどの旅客運送を行うこと自体が日本国内の法律で禁じられているのです。
つまり白ナンバーの車で対価としてお金を徴収する送迎サービスを行うことを違法な「白タク行為」と呼びます。タクシー営業に必要な認可を得ずに行うと法律で罰せられるのです。
ライドシェアに反対を唱える理由は、この部分に触れるからと言われています。
「タクシー」という公共交通機関の役割はこの先も続く
現実問題として、今後日本でライドシェアは早かれ遅かれスタートするかもしれません。
ですがもしかしたらスタートしても「どこの馬の骨かわからない人の家の車なんか乗りたくない」という懸念から、あまり普及しない可能性もあります。これもまた国民性ではないでしょうか…。
先日、遺品整理で出張買取の査定を頼んだ際、鑑定をされる方が「(ブランド物の)財布があまり値が付かないのって日本だけなんですよ。理由は日本って風水とか気にされるでしょう?誰が使ったかわからないものは財布だと皆さん敬遠してしまうんですよね…。」と申しておりました。
それを聞いたとき、このライドシェアのことを何故か思い出し、「日本に根付くのかなぁ?」と考えてしまいました。
思えば幾多の時代の流れにおいても、タクシー業界はさまざまな場面で対応できるように変化と知恵で乗り越えてきました(コロナ禍など)。ライドシェアの波が仮にやってきたとしても、サービスの質、道路の案内など、タクシードライバーにしかできない仕事・役割は多々あります。
この役割はきっと先々も続きます。それが『社員』という雇用であっても『アルバイト』であっても。