タクシーはハンドル握ってアクセル踏んで…お客様見つければ成立…なはずがありません。
配車…タクシーを呼び出したりするのに現在は様々なシステムが導入されています。
最新のデジタルを駆使してタクシー営業を行わないと、仕事はできないし稼げないと断言してもいいくらいの時代になりつつあります。
その証拠に各地のタクシー会社で『未経験者の方がベテランドライバーより収入が良い』という現象が少なからず起きているようです。
タクシー配車システム…タクシーを普段利用する側も、タクシードライバーもあまり触れる機会がないかもしれない、ニッチな話題を今日はお届けします。
見出し
クラウド型タクシー配車システム「電脳交通」事業拡大へ
タクシー配車システムを手掛ける事業者「電脳交通」がクラウド型タクシー配車システムの事業拡大に乗り出します。
この度「電脳交通」では、組織体制の強化と事業成長に向けた取り組みの一環として、社外取締役に大手総合商社『三菱商事』の莊司茂雄氏が参画することが明らかになっているほか、日本郵政グループの投資ファンド運用会社『JPインベストメント』の瀬尾萌氏も参画予定としています。
タクシー配車システム「DS」の躍進
電脳交通は2015年12月に創業というタクシー業界では新鋭の企業です。
クラウド型タクシー配車システム「DS」や配車業務委託サービス「Taxi CC」を開発・提供しており、タクシー業界が抱える『人材不足』の解消と『業務負担の軽減』を目指すサービスを行っています。
「DS」は、45都道府県でサービスを展開しており、毎年約2倍のペースで導入車両数が拡大しております。現在「DS」は全国で約400社の導入実績があり、年間経常収益は3年連続で200%成長を維持しているというから驚きです!
主には地域の中小企業のタクシー事業者がメインでしたが、近年は大手タクシー事業からの参画も増加しているとのことです。
目指すは「業界トップシェア」
電脳交通の事業は、まさにタクシー業界において「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉がふさわしいかもしれません。
今後は『業界トップシェアを目指す』と明言しているほどです。
先述の配車業務委託サービス「Taxi CC」などと合わせた月次売上は既に1億円を超えており、今期の売上は10億円を突破するという見込みです。
また、現在電脳交通に登録している法人タクシー事業者の台数の内訳ですがなんと約18万台!
電脳交通としては2年後の2025年までにこの18万台中の30%にあたる6万台以上へサービスを提供予定とのことです。
約12億円の資金調達に成功
そして今回、電脳交通では2023年4月4日に新規および既存投資家を引受先とした『総額約12億円』の資金調達を実施したと発表しました。
累計資金調達額にしてなんと約27億円にもなります。
では一体その内訳などは、どうなっているのでしょうか?
引受先の投資家は大手企業やタクシー事業者など
今回の電脳交通が行った資金調達では大手企業やタクシー事業者など様々な顔ぶれが揃っており、期待度の高さが伺えます。
以下は電脳交通の引受先となります。
▼既存投資家
三菱商事・第一交通産業・エムケイタクシー・阿波銀行・徳島大正銀行・いよぎんキャピタル
▼新規投資家
JPインベストメント・ENEOSイノベーションパートナーズ・四国旅客鉄道(JR四国)・沖東交通グループ・三和交通
資金の使い道は?
一番気になるのがこの「資金の使い道」ですよね。調達した資金の流れは誰しもが知りたいところです。
この度調達した資金は、以下が挙げられます。
- タクシーDX(※)を実現するためにサプライ領域のプロダクト強化。
- 既存事業のさらなる伸長を見据えた組織基盤の強化。
- 将来的な株式公開を視野に入れた体制構築に向けた採用強化に活用。
電脳交通では各株主と資本業務提携を締結し、資金面のみならず『デマンド交通サービス』や『脱炭素関連(カーボンニュートラルなど)』のプロジェクトを共同で展開するとしております。
▼※DX…デジタルトランスフォーメーションの略
「最新のデジタル技術を駆使した、デジタル化時代に対応するための企業の変革」です。
2018年には経済産業省からも日本企業がDXを進める動きを加速させるために、「DX推進ガイドライン(デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン)」を発表しております。
地域交通の課題解決に取り組む電脳交通
電脳交通では、今後もタクシー業界の活性化や地域交通に必要とされるサービスの早期実現に取り組んでいき、『国内の地域社会が抱える移動・交通の課題解決を目指す』ことを明言しております。
タクシーのDXの加速化は地域交通の課題解決に向けた大きなアプローチであり、事業基盤を生かしたデマンド交通やカーボンニュートラルなどの新たな取り組みにも着手していく構えです。
これから~Opinion~
タクシー業界は『需要と供給がなかなか追いつかない』のが喫緊の課題と言えましょう。
コロナ禍でタクシードライバーの人口が2割近く減少しておりましたが、近年配車アプリの利用増加を筆頭に、インバウンド復活やコロナ衰退、そして各地で起きている初乗り料金値上げの恩恵もあり、タクシー利用が回復してきています。
しかしながらこうした需要が増加すればするほど、供給面を補わなければなりません。
さもなくば「タクシーが捕まらない」「タクシーが来ない」という現象が多々発生してしまうからです。そんな中でタクシードライバーへの効率化を図るために、電脳交通を含め業界全体でこの課題に取り組むことは大変意義のあることではないでしょうか。
電脳交通の配車システムは供給面において人手不足の影響もありまだ十分ではないという現場の声もありますが、それでも少し前までさしてスポットライトが浴びなかった課題に着目してくれたことには敬意を表さなければいけないような気もします。