タクシードライバーは転職先に大変おススメの職種ですが、業界未経験の方が入社したらその日からすぐタクシー営業が出来るわけではありません。実は一生ものの「国家資格」を取得しなければいけません。
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タクシードライバーに必要な運転免許とは?
運転免許と言えば、AT免許、MT免許…それらは一般乗用車で利用するものであれば「一種免許」としての分類になります。
しかしタクシードライバーに必要な運転免許となるとまた話は違ってきます。似て非なる運転免許を入社前後で取得しなければいけません。
第二種運転免許
タクシードライバーで必要な運転免許は「第二種運転免許」です。
これは普通(第一種)運転免許同様『国家資格』でもあると同時に、ご自身の身分を証明できる大切な公的書類にもなります。
普通免許との違いは、「公共交通機関の乗り物を運転できる」こと。つまり運転時にお客様を乗車させて営業が出来る資格という点が大きな違いと言えましょう。
第二種運転免許を取得すれば白ナンバーと言われる自家用車以外にも「緑ナンバー」の営業車両に運転することが可能となります。
なお、バス等を運転する際は「大型二種」の運転免許が必要となりますが、タクシードライバーへ転職する方でバス運転手の経歴をお持ちの方は、この大型二種が「第二種運転免許」と同様の効力を持ちますので、再度取得することはしなくて可能です。
地理試験
タクシードライバーとしてデビューするまでに、もうひとつ必須の資格があります。
それがこの「地理試験」です。
実はこの地理試験、地域のタクシー営業を管轄する運輸局によって制度を設けている地域といない地域があります。ここでは最もポピュラーな「東京特別区・武三交通圏」を例にお話ししてみたいと思います。
地理試験は営業区域内でタクシー営業を行う上で非常に重要なプロセスです。
そのため試験内容も難問が多く、研修時では一番大変な場面としても有名です。
しかし東京でタクシードライバーして現在現役乗務されている方、或いは全国で地理試験が施行されている地域のタクシードライバーは老若男女問わず皆さんこの難関を乗り越えてタクシー営業を行っています。
第二種運転免許の受験資格・試験内容
第二種運転免許は一体どんな試験内容なのでしょうか?あるいは受験に際し特別な資格は必要なのでしょうか。
実はこれ、タクシー業界未経験の方で多く寄せられる問い合わせのひとつなのです。
「普通運転免許は取得して何年も経つが…二種免許というのは一体どんなことをするのかわからない…」
そんな方のためにまとめてみました。
第二種運転免許取得にかかる期間と費用は?
第二種免許取得にかかる期間は、概ね10日~2週間程度です。人によって進み具合が異なりますのであくまで目安と捉えてくださいね。
第二種運転免許は普通自動車免許取得時同様に専門の自動車学校(教習所)へ通学し、卒業資格を取得します。
この卒業資格を以て『技能試験』が免除となり、後は住民票のある運転免許センターへ行き、本免学科試験を受講し合格すれば晴れて第二種運転免許を取得することが可能となります。
費用は都道府県や通学・合宿などで異なりますが、概ね18万円から22万円の間が平均です。
ただ、タクシー会社に新人乗務員として入社される場合は、未経験者を積極的に養成する風潮があることもあって「二種免許取得費用会社負担」というタクシー会社がほとんどで、自動車学校に通学中も研修期間として日給が発生することが多いようです。(※条件は各社によって異なります。)
第二種運転免許の受験資格
第二種免許は、はじめて自動車の免許を取得する際に選べる資格ではありません。
実は受験資格があるのです。
第二種免許の受験資格は、現在有効な大型、中型、普通又は大型特殊のいずれかの免許を所持している21歳以上の方で、いずれかの免許を受けていた期間が、免許の効力が停止していた期間を除き3年以上経過していることが条件になります。
年齢以外の受験資格は…視力が両眼で0.8以上、片眼がそれぞれ0.5以上(眼鏡、コンタクト可)であること。信号機の赤、青、黄色が識別できること(色彩識別能力)。三桿法を使った深視力検査でその誤差が平均2㎝以下であること(深視力)。聴力は10mの距離で90dbの警音器の音が聞こえること。そして、運動能力は「運転に支障をきたす身体の障害がないこと」となっております。
また、第二種免許は2022年5月に道路交通法の一部改訂があり、取得条件の年齢部分が「19歳以上かつ、普通自動車免許等の取得後期間が通算1年以上」に大きく緩和されました。
現行の21歳以上(または運転経歴3年以上)に変更はないのですが、一定の教習を修了することにより免許取得後1年後でも第二種運転免許を取得できるようになったのです。
国内では普通運転免許を取得できる年齢が18歳以上からのため、最短19歳からということなのですね。
第二種運転免許の学科試験について
第二種運転免許の学科試験はマークシート式の問題形式になります。
合格基準は90点以上となっており文章問題90問、イラスト問題5問の全95問となっており文章問題が1問1点、イラスト問題が1問2点の合計100点満点の試験になります。
普通自動車免許の試験を彷彿させるような試験内容ではありますが、実は第二種運転免許の学科試験は「応用問題が多い」という特徴があります。
第二種運転免許の技能試験について
第二種運転免許の技能試験も、普通自動車免許と若干違う部分がありますので注意が必要です。
自動車学校内での技能試験と路上での技能試験があるのですが、なんと第二種運転免許の合格採点基準は90点以上とハードルは厳しくなっております。
普通自動車免許の際は80点以上ですので、10点アップとなっております。
第二種運転免許はお客様を乗せて営業をすることもあって「応用」や「走行距離の長さ」が特徴です。
そのため、いつもの一人で運転しているような走り方では厳しく、ブレーキやアクセルの踏み方、安全面の心がけなど細心の注意を払うことが必要になります。
第二種運転免許取得に必要な講習について
第二種運転免許取得に必要な講習の中に「取得時講習」というものがあります。
これは、指定自動車学校(教習所)に通わず、お住まいの都道府県にある運転免許試験場で直接、一種・二種免許を取得しようとする方法です。つまり通常は免除される部分を、教習所に通わずに『一発試験』で免許を取得するという形です。
そのため、通常の指定自動車学校(教習所)で学科・技能試験を受け卒業された方は受講の必要はありません。
しかし「一発試験」だけあって合格率10%以下とかなり難易度は高いのでご注意ください。
地理試験の試験内容
地理試験の試験内容はどういったものなんでしょう?
タクシー会社に入社後にまずこの第二種運転免許と同様に取得を必須とされる「地理試験」。
東京特別区・武三交通圏のタクシー会社は第二種運転免許を取得していても、この地理試験に合格しなければ例外なくタクシードライバーにはなれません。
難関の地理試験はこうして乗り越えた!先輩ドライバーの知恵が満載「タクシー転職大学」
また、一説によると地理試験の合格率は50%前後と言われており、一回で合格するのは難しいと言われています。 この数字を聞くと非常に億劫になってしまいがちですが…これまた数字のマジックとは面白いもので「2人受ければ1人は合格する」という考えに切り替えれば、そこまで難関ではないようにも思えませんか?
とはいえ勉強は必須となるのがこの地理試験。「問題を解く」理数系とは違い、「とにかく地理を覚える」という事に徹して3回以内の合格を目指しましょう。
その上で浮かび上がる疑問をまとめてみました。
地理試験取得にかかる期間と費用は?
地理試験取得にかかる期間は概ね10日前後が平均値と言えましょう。
タクシー会社に入社後、第二種免許取得が先か、地理試験取得が先かはタクシー会社各社で変わります。また研修方法も大きく変わります。
とあるタクシー会社では「地理試験専門校」という独自の教室に通わせて来るべく本番へ向けて勉強を行う方式を採用しており、これまた別のタクシー会社では「地理試験取得の達人」とも言うべく研修担当者が在籍しており、長年のキャリアと過去問などから出題される傾向と対策を丁寧にレクチャーしてくれる場合もあります。
入社して自分で勉強させられる会社も一部あるようですが、研修時にひとつひとつコツを教えてくれるのはありがたいですよね。
費用ですが、東京特別区武三交通圏の地理試験受験料は受験料6,800円です。
東京タクシーセンターで受験することが可能で正式名称は『輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験』と言います。
内訳は『タクシー事業に係る法令、安全及び接遇』と『当該指定地域に係る地理(地理試験)』で各科目毎3,400円となっております。
タクシー会社に就職して受験する『新任研修受験』は事業者からの新任研修申し込みが必要ですが、一般受験も申込可能です。
※尚、一般受験の場合は予約制となっておりますので、タクシーセンター内『運転者研修所窓口』、もしくはお電話にて受験を希望する際は予約をしましょう。
地理試験の試験内容について
東京特別区武三交通圏の地理試験の内容は「道路名」「地名」「建造物の名称」「公園」「観光地などの各名所」「旧跡」「主要駅の所在地」、そして目的地までのルートを穴埋めで回答する問題が出題されます。
地理試験の時間は60分で、マークシートに解答する形式となっております。
全40問出題され80%以上正解で合格となりますので、40問中最低でも32問以上を正解しなければなりません。
ところで試験そのものは地理試験だけでなく、「タクシー事業に係る法令、安全及び接遇」の科目が追加されています。(2015年10月より施行)
こちらは「法令」「安全」「接遇」の3項目に分かれた問題が出題されており、「法令」は①道路運送法、②タクシー業務適正化特別措置法、③その他の関係法令に関する事項などが盛り込まれている内容です。
「安全」にあたっては、①当該指定地域における交通事故の発生状況、②交通事故の防止及び事故発生時の措置に関する事項など、タクシー運転における重要な知識になります。
「接遇」に関する項目が①タクシードライバーの基本的な心構えと接遇に関する事項、②高齢者、障がい者等の乗車、③降車等におけるタクシー運転者の対応に関する事項などとなっています。
「タクシー事業に係る法令、安全及び接遇」の試験も地理試験同様に筆記試験となっており、45問出題され、正解率80%以上(36問以上の正解)が合格ラインとなっております。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
第二種運転免許を取得するには普通免許と同じように自動車学校に行き、卒業後に本免を受け合格する必要があります。
地理試験は東京特別区・武三交通圏の場合、タクシーセンターで『輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験』として『タクシー事業に係る法令、安全及び接遇』と『当該指定地域に係る地理(地理試験)』の2つの試験を受けて合格する必要があります。いずれも80%以上の正解でなければ合格となりません。
第二種運転免許も地理試験もタクシードライバーとして乗務する際の最初の試練ではありますが、どのドライバーも等しく例外なく乗り越えていますので、どうぞご安心くださいね。