タクシー業界は中途採用が多い業種ですが、この10年で大手タクシー事業者を中心に新卒採用も積極的に進めています。
特に顕著なのが東京大手四社で、近年では毎年ニュースになったり、会社によっては大学生が就職したい企業のベスト150位以内にランクインしていることも。
そんな中、新卒採用に早くから積極的な業界最大手の『桜にN』のブランドで御馴染みのあの会社から発信された、ユニークなニュースをお届けします。
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タクシー最大手「日本交通」葛西営業所が移転リニューアル
東京のタクシー最大手「日本交通」は2023年2月7日、直営の葛西営業所を、移転リニューアル致しました。4月には、2023年度新卒採用者のうち約70名を葛西営業所へ配属し、体制を強化する予定となっております。
葛西営業所は2020年に開設し今年で3年目を迎えますが、現在葛西営業所には約100名のタクシードライバーが在籍しており、今後さらに新卒採用者を迎え入れるにあたり、この度施設の拡充を図ることとなりました。
営業所の規模拡大と図ると共に、今後多方面でより広がりを持てる取り組みが展開できる環境を整るとのことです。
新卒ドライバーのみのタクシー営業所
日本交通の求人情報を見ると、葛西営業所は掲載していないことが良くあります。
それもそのはず、実はこの葛西営業所、タクシー業界ではおそらく初の試みであろう『新卒採用のタクシードライバーのみで構成する営業所』なのです。
2020年開設当初から、新卒採用のタクシードライバーだけが在籍をしており、この度営業所のコンセプトも新卒採用者によって企画され、社員間のコミュニケーション促進を図るべく、新たな試みをスタートさせることとなりました。
モチベーション強化を図るため、環境を整備
ではその新たな試みとは一体なんなのでしょうか?
日本交通のみならず、タクシー業界全体、ひいては日本企業全体の課題としても「モチベーション強化」に対してのクエスチョンに議論が上がります。
日本交通では、ボトムアップを推進し新卒社員・新卒タクシードライバーのモチベーション強化を図るため、様々な環境を整備しております。
その中身を見てみましょう。
新部署「HRMプロジェクト」を設置
昨年2022年4月、日本交通では新部署として新卒採用者が目標を持ち、やりがいを持って働ける環境を創出することを目的に、モチベーション・スキルの向上のための取り組みを行える「Human Resource Management(HRM)プロジェクト【以下:HRMプロジェクト】」をスタートさせました。
現在新卒採用者3名がプロジェクトに所属しており、さらに葛西営業所のHRMプロジェクトには有志で集まった新卒採用者9名が参加しております。
社員向けカフェを設立
今回、その新たな試みとして葛西新営業所の注目すべき点があります。
その営業所2階に日本交通社員を対象としたカフェスペースが設けられ、焼き立てのパンや手作りのドリンクなどの販売が開始されることとなりました。
その内容もまた…驚きなんです!!
なんとタクシードライバー自らカフェを自主運営
なんと…このカフェスペースですが、新卒タクシードライバーの自主運営による社員向けカフェなのです。
昨日の「葛西営業所」出発式の様子(2/2)
新しい営業所のコンセプトは新卒社員自らが企画し、施設内には新卒社員が自主運営する社員向けカフェが導入されました。
社員間の一層のコミュニケーション促進を図ります。#日本交通#タクシー pic.twitter.com/SoYrM21VH7— 日本交通株式会社【公式】“桜にN”のハイヤー・タクシー (@Nihonkotsu_Taxi) February 8, 2023
つまりカフェスペースでの調理や販売を行うスタッフは日本交通社内の新卒採用タクシードライバーが担当します。既に調理に関しては専門スタッフからレクチャーを受けているそうですよ。
日本交通によりますと『タクシードライバー、営業所の運行管理者、本社職員といった従来の業務に加え、既存の枠にとらわれないキャリアモデルを創造することにより、勤務時間・業務内容など働き方についての価値観が多様化する中で、新卒採用者の定着率向上を図り、長期にわたる活躍の可能性を広げたい。』とのことです。
新卒タクシードライバーの育成に力を注ぐ日本交通
日本交通では約10年前の2012年から新卒タクシードライバーの採用を開始しております。
そして現在まで累計で1,400名以上の方が入社しており、車内でも多方面に活躍の場を見せています。
現在タクシー業界は次世代車両のJPN TAXIの普及をはじめとしたバリアフリー化とwithコロナへの対策を施したニューノーマルタクシーの登場や、タクシー配車アプリ・キャッシュレス決済の普及、さらには初乗り運賃値上げに規制緩和によるインバウンド需要復活のあおりもあり、タクシー業界は大きく変化を見せています。
日本交通の新卒タクシードライバーは、東京タクシー最大手の社員としての成長、そして業界のイメージを変え、業界の進化を牽引できる人材となることが求められております。
そのためホスピタリティが高く、新しい技術や環境へ柔軟に適応できる人材の育成に力を注いでいます。
これから~Opinion~
とある映画のシーンで「福利厚生の一環で社員がドーナツ販売を社内で始めて好評となった」という話を見たことがあります。
「たかがそんなもの」と思われても、多忙な中でも憩いを求め、社員間のコミュニケーションの促進やモチベーションアップを図る上では「されど」と言えるものだと、感心して見入った記憶が蘇りました。
日本交通によりますと『将来的には、周辺地域との交流の場としても活用することで、新たなキャリアアップやビジネスモデル開拓の拠点として展開していきたい』とのことでしたが、タクシーは公共交通機関としての役割を果たすのはもちろん、社会貢献をしなくてはいけない立場であると思います。是非ともそう遠くないうちに交流の場として開放して頂き、タクシー業界の未来のためにも邁進してほしいと願うばかりです。
もちろん大手だから出来るプロジェクトもあるのでしょうが、準大手や中小のタクシー会社でも内容は違えど、タクシードライバーに対してモチベーションアップのために小さいながらも『乗務員思い』の部分はあるという事をどうかお忘れなく…!